いきなりガブリ!

お宅へ伺うと、ドアが開いたその瞬間小さな黒い塊が、けたたましく吠えながら飛び出してきました。門の外に出そうになっだので、慌てて両手を広げて止めようとしたら、ガブリ! 私は左手の指を噛まれて流血。血が門柱の前に怪しげにぽたぽたと数滴落ちてしまいました。噛みついてから車の下に隠れてしまったので、よほど怖かったのでしょう。

黒い塊の正体は、柴犬の『ネロ』。体重は2㎏ほどと小さいのですが、それでも牙が刺さるとけっこう血が出るものです。

ご家族にお集まりいただき、カウンセリングを始めようとしたとき、お母さんが申し訳なさそうに、「あの……いちばんネロにバカにされている(?)と思われる息子の姿が見当たらないのですが」とおっしゃいました。

聞けば息子さんは今朝「先生は何時に来るの?」と確認していたとのことでしたが、どうやら逃げたようです。なかなか賢い!柴犬をしつけるときは、この賢さ、そして先手必勝の姿勢が大切です。

ご家族のお悩みは、ネロが吠えるので困っているとのことでした(そして、噛みますね?)。ご近所の方は「番犬になるから助かるわ~」なんて言ってくださるそうですが、それはほとんどの場合「イヤミ」だったりしますのでご注意ください。

そもそも、よく吠える柴犬は番犬にならなかったりします。なぜかと言うと……。

私が子どものころ飼っていた犬はよく吠える犬で、夜に隣のおじさんが帰って来ても吠えていました。しょっちゅう吠えるので、彼が吠えたからといってわざわざ外に様子を見に行くようなことは誰もしませんでした。ところが、その後に飼ったシベリアンーハスキーは、ふだんはまったく吠えません。一度、夜10時くらいに吠えたことがあり、父が心配して外へ様子を見に行ったことがありました。すると、近所の人ではない男性が歩いていたそうです。

つまり、ふだんから吠える犬は人が信用しないので、番犬になりにくいということです。まさにオオカミ少年ですね。

カウンセリングをするときは、私は飼い主さんがどんなふうに愛犬に接しているか、注意深く観察するようにしています。無意識にさわっていたり、目で追っていたり、声をかけすぎていたりしていないか。愛犬の様子はいつも通りか、かまわれないことによって不安や不満を感じていたりしないか、ずっと動いているのか、寝そべる、眠ることができるか、などを見ています。また、家の中の環境も観察するようにしています。